ちゃんみなの魅力1.ラッパーとしての正統性
まずは1つ目「正統性」です。
それでは、ここでちゃんみなの楽曲を聴いてみましょう。
(ちゃんみな『Princess』MV。)
こちらは2016年夏に発表した曲。10代とは思えない堂々としたパフォーマンスで、どこの一流USラッパーだ?と思わせるような仕上がりです。
楽曲面はアメリカのサウスヒップホップの流れを汲んだもので、トラップという技法を取り入れています。トラップは現在世界的に流行している手法で、多くのポップミュージシャンまでもが使うようになりました。
そういった海外のトレンドを取り入れて聴きやすい曲にしつつも、ヒップホップのクラシックを参照しているのでは?と思われるフシもあります。例えば「ヒップホップ界の女王」と呼ばれるUSのラッパー、ミッシー・エリオット。ミッシーよりも若いキャリアのアーティストであれば、ニッキー・ミナージュやイヴなどが挙げられます。
(Nicki Minaj『Truffle Butter feat. Drake, Lil Wayne』)
(Eve『Who’s That Girl?』)
ちゃんみなの魅力2.ラッパーとしての精神性
次の魅力は、強い精神性です。
『BAZOOKA!!!高校生RAP選手権』での、Rei©︎hiに対するメンチの切り方と動じなさに、思わず鳥肌の立った方々も多かったことでしょう。
バトルはあれが初めてだったそうですが、ちゃんみなの名を世に広めたバトルとして今でも語り継がれる一戦であったことは間違いありません。
(この戦いで使われているビートは、先ほど挙げた、Nicki Minaj『Truffle Butter feat. Drake, Lil Wayne』とEve『Who’s That Girl?』です)
また、『Princess』MVを見るとわかりますが、日本の女性アーティストには出すのが難しい「オラつき感」があります。こういった「主張の強さ」は、もちろん歌詞にも現れています。
泣き虫のお姫様なんて
もう流行らないの生憎様
可愛いだけじゃやっていけない世界
あんたにはちょっと向いてないみたい
自分のスキルが知りたいなら
まずは鏡に聞いてみれば?
この部分では、今までの「お姫様」に対する解釈を大幅に更新しようという姿勢が見られます。
それは男性中心の社会に対する異議申し立てであり、その社会の中で振る舞う「弱い女性」、いや「弱さを武器にして振る舞う女性」への異議申し立てでもあります。
しかもそういった背景を、ポップスに落とし込んで表現しているのが『Princess』MVなのです。
ちゃんみなの魅力3.歌詞に現れるカリスマ性
最後はカリスマ性です。
繰り返してしまいますが、ちゃんみなは現役JKラッパー。思春期の真っただ中です。それを存分に発揮している部分について触れようと思います。
ITunes Storeのヒップホップランキングで一位を獲得した楽曲『未成年Feat.めっし』の中には、このような歌詞があります。
両手を上げて頭下げて
好きなように揺れて声上げて
これはただの思春期の我が儘じゃない
私達は真剣だこれはただの思春期の我が儘じゃない 私達は真剣だ
どうでしょう。この歌詞から、ちゃんみなは今の自分にしかできないアウトプットをしていることにこだわりを持っているような印象を受けますし、かつこの歌詞に共感した思春期の若者の数は多いことでしょう。
ちゃんみなと同世代で活躍するアーティストは、他にも存在します。
その中でも、思春期のリスナーがとりわけ彼女をRESPECTする大きな理由として「自分自身の言葉で想いを表している」「気持ちを代弁してくれている」ことが挙げられると思います。
また、少し話が戻りますが、彼女にとって最初で最後のラップバトル大会が『BAZOOKA!!!高校生RAP選手権』第9回大会だったそうです。
進んだ第2戦では「Rei©hiの涙無駄にはしねえ!」というリリックも飛び出しました。
その見た目とは裏腹に誰よりも優しく情に厚い。だから、他者をディスる手法をあまり好まないのかなぁ?と推測できます。
そういった意外な一面も、彼女をRESPECTするに値する部分なのではないでしょうか。
クラシック×トレンド×精神性+αのカリスマ性
以上の理由から、今後ちゃんみながブレイクする要素は揃っているといえるでしょう。
あとは日本の音楽シーンに、それを受け入れるだけの準備ができているか、といったところでしょうか。
最後に、ちゃんみなの曲をもう一曲紹介して記事を終わりにしようと思います。
それがこちら。冒頭で少し触れたこの曲です。
(TeddyLoid(TeddyLoid『ダイキライ feat. ちゃんみな』)
ちゃんみなは、注目のプロデューサー・TeddyLoidとコラボしました。
この曲はDAOKO『ダイスキ with TeddyLoid』アンサーソング作品ということで、もしかしたら今後、DAOKO、TeddyLoid、ちゃんみな、という三者の共演があるのかもしれないですね……。
新たな時代の到来に期待ができそうです!
まとめ
・ちゃんみなというアーティストには、歴史性を意識したヒップホップ的正統性と強い精神性、さらに、歌詞に顕著なように、思春期の若者にとってのカリスマ性という魅力がある。
・それらが現代的かつポップに作品として昇華されている。
・日本では長らく空席だった「本格女子ラッパー」の椅子に、ちゃんみなが座ることになる可能性は高い。
今夜9時57分からのTHE夜会!準会員には話題の現役女子高生のラッパー“ちゃんみな”さんも登場します!#夜会 #ちゃんみな pic.twitter.com/1fziptIuIU
— 櫻井・有吉THE夜会 (@theyakai) 2016年9月1日
活動情報
そんなちゃんみなが、2017年3月8日にアルバム『未成年』でデビューすることが決定しました!
2017年、ちゃんみなから目が離せません!
Twitter:@chanmina1014
Instagram:minachanxx
SHARE
Written by