「ダークサイド」って聞こえはだいぶ暗いイメージ。でも日々生きていれば悲しいこととか切ないこと、ちょっと独りになりたいこととか考え事したいこととか、もちろん落ち込むこととかあるのは当たり前。そんな時、そっとそばにいて寄り添ってくれる音楽を「ダークサイドな音楽」と呼ぶことにします。そうして気がついたらまた、明日に向かっている自分に気がつくのかもしれません。そんなダークサイドな音楽を紹介してくれるのは、東京と埼玉を中心に活動するヒップホップグループSQUASH SQUADのメンバー。文学、特に詩を好み作られたリリックに定評があり、ラップもメロディものからホラコアやメタル色のある楽曲まで幅広い表情を持つVito FoccacioさんのMIXTAPEです。
Gorillaz『Clint Eastwood』
高校生の時バンドのアニメキャラクターが面白くて気になったのがきっかけで好きになったゴリラズ。アンニュイなサウンドで自暴自棄な気分の時に聞くと染みます。
ASAP Mob『”Bath Salt” (feat. Flatbush ZOMBiES)』
アメリカで一時期話題になった強烈なドラッグ、バスソルトがタイトル。それを服用するとゾンビ化したように人に噛みつくほど凶暴になるとかならないとか。曲も凶器を両手に街で無双しちゃうような勢いです。
Pusha T『Numbers On The Boards』
イカれたトラックにプッシャティーのねばり付くラップがクセになります。
Earl Sweatshirt『Grief』
この曲を収録したアルバムタイトルは「I DON’T LIKE SHIT, I DON’T GO OUTSIDE」ということで、外に出ても良いことがなくて引きこもりでもキメ込んだのでしょうか、換気されない煙たい部屋の中にいる雰囲気です。
Dj Baku『蓄殺 feat. PRIMAL & RUMI』
頭の糸がプッツンしてしまったようなノイジーなトラック。そこに無骨に乗っかる不穏な言葉は劣悪な環境下で生まれながらも詩的に思えます。またこういうサウンドにハマりつつも女性らしさをも活かすルミさんはとても類い稀な存在。
MSC (少佐,PRIMAL,MC漢,TABOO1,O2)『宿ノ斜塔』
日本語が日本語のままラップされることの欠点すらもアリにしてしまい日本のヒップホップの新たな道を開拓したMSC。リアリティにこだわれられた街の生々しい情景は陰鬱だが、まさに「それすらも楽しむ」。
漢『漢流の極論』
日本語ラップアンダーグラウンドの金字塔。何度聞いたかわかりませんが、日本のお祭りの雰囲気から突き落とされるようで重たいのにみなぎる高揚感は失われることはない。
SpaceGhostPurrp『Bringing The Phonk』
アンダーグラウンドで暗躍するグループRaider Klanのメンバー、通称パープ。サウスに古くから根付いているフォンクスタイルの継承者で、退廃的で悪魔的な薄暗いサウンドは運命の裏切りを呪っているようだ。
Big L『The Enemy (Ft. Fat Joe)』
ヒップホップのダークサイドというカテゴリーでやはり行き着く先が90’sになることは約束されている。敵に対して燃え盛る内なる炎、そこに燃料を永遠と継ぎ足していくようなDJプレミアのループ、その真骨頂。
Mobb Deep『Shook Ones Part II』
ここに紹介した曲の殆ど、そして僕自身もこのモブディープの影響を遠からず受けていると言っても過言では無いでしょう。彼らのサウンドの暗さは地元NYのクイーンズブリッジに根ざし、その気高さのままに現在も精力的に音楽活動を続けている。厚着をして冬の夜を歩きながら耳元で少し大きめの音量でこの曲を流せば、もう引き返せない甘美な闇の世界に引きずり込まれてしまうだろう。
PROFILE
Vito Foccacio(SQUASH SQUAD)
SHARE
Written by