3月はこれまでの場所から巣立ち、旅立つ季節。今いる場所から飛び立ったあとには、これからの人たちが控えています。たとえば、自分の身が滅びてこの世から消えてしまったら? そうなったとしても自分のあとを生きる人たちに必ず聴いて欲しい、ずっと残して伝えていきたい。大切な音楽を、次の人たちへバトンを渡すように伝えていきたい。そんな「バトンミュージック」のプレイリスト。
そんな「バトンミュージック」を紹介してくれるのは、確かな歌唱力に裏打ちされた艶のある歌声、幼少時に強く影響を受けた70-90年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収したバラエティに富むサウンドメイクと様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高い事で注目される中田裕二さんのMIXTAPEです。
CHAGE and ASKA『PRIDE』
僕の人生を何度も肯定してくれた一曲。
日本武道館で初めて生で聴いた時の光景はいまだに忘れられません。光に包まれて歌う二人。まるで大聖堂に響き渡る賛美歌のようでした。
BILL EVANS『I Will Say Goodbye』
ビルエヴァンスは初期作品に評価が集まりですが、晩年のシンプルながらもセンチメンタリズムが極まった作品達が僕は好きで、特にこの曲はビルエヴァンスのあまりに悲しい人生も相俟って凄まじい美しさを放っています。
人間の美しさは悲しみにこそ宿ってしまうのでしょう。
美空ひばり『五木の子守唄』
iTunes Preview
僕の故郷熊本で昔から愛されている民謡「五木の子守唄」。
僕自身は最近まであまり意識して聴いたことはなかったのですが、誰かが口ずさんでいたのを耳にした時、そのあまりの美しさに心奪われ、大好きな一曲になりました。
とにかく悲劇的な歌なのですが、美しい。いろんな方がカヴァーされてますが、ここではひばりさんを。ちなみにこの「子守唄」は寝かしつけの意味ではなく、身売りされた少女たちが奉公先の子供の面倒を見る、「守り子」たちの唄。その意味での子守唄なんです。
LEON RUSSELL『A Song for You』
最近亡くなられたスワンプロックの巨人レオンラッセル。
カーペンターズなどへの楽曲提供でも有名ですが、この曲の危なげな声と優しいピアノが放つ切なさ。
ウエスタンハットに長髪にヒゲからは想像つかない繊細な美しさに満ちています。
THE PLATTERS『Smoke Gets In Your Eyes』
これもいわゆるスタンダードの名曲で、多分プラターズのカヴァーが一番有名なのでは無いでしょうか。
誰もが遠く懐かしい恋を思い出す時、この曲は素晴らしいBGMになってくれるでしょう。
玉置浩二『メロディー』
歌というものはこうあるべき、といまだに突きつけてくる、永遠に歌い継がれるべき名曲。僕はこれは日本のスタンダードだと思っています。
日本人誰もの心に宿る郷愁をこの歌は優しい眼差しで抱きしめてくれます。聴き続けたい、歌い続けたい本物の歌。
PROFILE
中田裕二 (なかだゆうじ)
確かな歌唱力に裏打ちされた艶のある歌声、幼少時に強く影響を受けた70-90年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収したバラエティに富むサウンドメイクと様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高く、熱心なファンを多く抱えている。
【関連情報】
ニューアルバム『thickness』3月22日(水)発売!
[初回限定盤 CD+DVD] TECI-1537 / 3,500円+税
[通常盤 CD] TECI-1538 / 3,000円+税
* CDの収録内容(全11曲)は、初回限定盤/通常盤共通。
* 初回限定盤DVDには、4曲のミュージックビデオと、2016年8月にビルボードライブ東京にて開催された“中田裕二のジャジー・エクスペリエンス”公演の模様を収録。
3月25日(土)から、バンド編成によるツアー《TOUR 17 ”thickness”》(全11公演)と弾き語りによるツアー《中田裕二の謡うロマン街道》(全4公演)を同時開催。スケジュールは、http://yujinakada.com/tour.html をチェックしてください!
中田裕二/Deeper
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