安田レイが9枚目となるシングル「きみのうた」を発表した。今作はTVアニメ『夏目友人帳 陸』のエンディングテーマであり、シングルでは初の失恋ソングとして注目を集めている。今回のインタビューでは彼女のこれまでについても触れているが、笑顔の絶えないハッピーな彼女が、時折見せる真剣な眼差しが印象的だった。彼女は自らの経験を経て「ゆとり世代に向けて、話したいことがある」という。それって一体……?
Photography_TAKUMA TOYONAGA
text_真貝聡
Edit_司馬ゆいか
まずは、撮り下ろしムービーをどうぞ。
その人がいなかったら、今の私もいないなって
――撮影の様子を見てたら、誰に対してもフランクなので、安田さんは人見知りをしない人なのかなって。
安田レイ(以下、安田) : あははは、めっちゃしますよ! 人見知りです(笑)。
――えっ全然見えない!
安田 : でも、そんな自分が大嫌いだから頑張ってます。(マネージャーに向かって)ねっ、普段はめっちゃ人見知りだよね?
マネージャー : う、うん
――(笑)。安田さんが無条件に心を許してしまうのは、どんな人ですか?
安田 : よく笑う人。そういうハッピーなオーラが出てる人と気が合うんですよ。
――本当にオーラってあるみたいですよ。この間、お坊さんと飲む機会があって、「どんなオーラの人といるかによって、自分自身の調子も変わる」って言ってました。
安田 : そもそも、なんでお坊さんと飲んでるんですか(笑)。でも、そうなんですよ。やっぱり、ポジティブな人といると、自分も前向きになれるんですよね。
――普段、人前に立って明るく振舞っている人ほど、根は暗かったりしますけど……安田さんはどうですか?
安田 : どうなんだろう、私はめっちゃ明るい性格だと思ってます。普段とのギャップだと、ライブ中が一番変わるかもしれないですね。普通に話してる時はニコニコしてるけど、歌う時は顔がキリっとしてると思います。
――「きみのうた」のPVを拝見しましたけど、今までのキリっとは違う安田さんの表情が出てましたね。
安田 : ありがとうございます。わたしも他の作品以上に「きみのうた」は何回も観ました。 “別れ”にクローズアップして書いた曲だから、哀愁のある表情を出せたんじゃないかなって。
――歌詞はどんなことを思って書いたのでしょうか?
安田 : 簡単に言うと、かけがえのない人たちとの別れがテーマです。私の実体験を元に、出会いと別れを繰り返していく中で、前に進んで行く主人公を描きました。
――その別れた人たちは、安田さんにとって特別な存在なんですか?
安田 : そうですね。その人たちがいなかったら、今の私もいないなって。歌詞を書きながら色々と思い出して、ブルーになった時期もあったんですけど、出来上がった時に凄く気持ちが軽くなりました。
――自分の中で整理がついたってこと?
安田 : はい。歌詞を書いている間、その人たちのことを思い浮かべていたからなのか、夢に出てきたんです。しかも書き終わったら、その人は出てこなくなって。「なんてスピリチュアルな……」と思いました。
――歌い方にも、今までの作品とは違う変化を感じました。吐息というかブレスに凄い色気があるなって。
安田 : 今回は空気成分多めというか、ブレッシーな感じ。曲中の会えない人っていうのは、凄い遠くにいるわけじゃなくて、近くにいるんですよ。だから、囁くような歌い方を意識しました。
誰に何と言われても絶対に歌手になってやる
――もう1曲の「up to ME」はガラッと雰囲気が変わりますね。
安田 : 今作はまるっきり世界観の違う2曲なので、不思議な組み合わせだなって思ってます。
――タイトルはどういう意味ですか?
安田 : 「up to ME」っていうのは「=自分次第」って意味で。これは私の心の叫びでもあり、若い子たちを代弁してるんじゃないかって思うんですけど。
――若い子たちを代弁って?
安田 : 今の若い子たちって、ゆとり世代なんて言われてますけど、根っこの部分では熱い子がめっちゃ多いんです。本当はやりたいことがあったり、言いたいことがあるんですけど、大人に遠慮しちゃってて。
――大人に遠慮っていうと?
安田 : たまに悩み相談を受けるんですけど、親に気を遣って自分のやりたい道に進めてない子って結構いて。それは勿体ないと思うんです。親の人生でもなければ、先生の人生でもなければ、自分の人生なのにって。私は小さい頃から歌手になりたい気持ちが凄いあって、そのために自分の道を歩いてきたんですけど。中には反対する人も結構いて。家族だったり、親戚だったり、学校の先生だったり……。
――「歌手なんてなれるわけないだろ」って?
安田 : そうそう。「音楽なんて、今すぐやめろ! ちゃんと勉強しろ」みたいな。だけど、私には歌しかないって思っていたので、誰に何と言われても絶対に歌手になってやるって。
――誰に何と言われても信念を曲げないのが安田さんの強さですよね。
安田 : 根拠のない自信だったとしても、「自分にはできる」って飛び込んでみるのが大事だと思ってます。若い子にも、他人が決めた枠の中だけで満足してほしくないんです。それを飛び越えて、本当にやりたいことを発信してほしいなと思って「up to ME」を書きました。
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