いちばんやりたいことがはじまった
――今回は初の作詞にも挑戦しています。初めて書いた歌詞の最初のフレーズが「I was born in California」になった理由を知りたいです。まっぴーさんは沖縄生まれ東京育ちですよね。
甲田 : はい。ニューヨークには4ヶ月くらいジャズの勉強をするために行っていたことがあるけど、カリフォルニアにはなくて。超〜〜〜行きたいんです。昔から憧れていて。曲を作る時はピアノを弾きながら英語でなんとなく歌っていくことが多いんですけど、たぶん、行きたい欲が強すぎて「生まれた」とか言っちゃってるんですよね。もう勢いで。
――「行きたすぎて”生まれた”って言っちゃった」は、予想外の答えでした(笑)。
甲田 : もはやそこで生まれたと思い込んでるくらい行きたいという、それくらいの感覚で作っちゃいました。歌詞はあとで変えようと思ってたんです。だって嘘だし(笑)。でも今のSNS時代、何がほんとかわからないというのは日頃から思っていて。たとえば写真を載せる時、それがどこで撮られた写真であっても、カリフォルニアというロケーションを刺してしまえば、見ている人は本当だと思ってしまうじゃないですか。そういうことが良くも悪くも面白いし、ありえるなと。だから元々はテキトーに英語で歌っていたのがはじまりだったけど、次第に「この曲をそういう世界観にできないかな」という考え方にしていきました。
――誰かがまとめブログに「甲田まひるさんは、カリフォルニア出身です」って書いちゃいそうですね。
甲田 : 書かれちゃうかもしれないですね(笑)。正直に言うと、わたしは現時点で自分のバックボーンにそんなにこだわりがあるわけじゃないんです。ただ好きなことをやってきているだけだから、ある意味リアルな感情を言っている曲ではあります。
――イーグルスの「Hotel California」からの引用かな、とも思ったんですが。あの曲とテーマが近いですよね。
甲田 : ああ、たしかに! 作る時は全然意識していなかったけど、好きな曲なので嬉しいです。あの曲みたいにちょっとやさぐれ系というか、諦めとか悲しみのような雰囲気がありますよね。
――でも曲調はバッキバキという、そのギャップがいいですね。ダッチこと山田健人さんをギターに起用した理由はなんですか? ギタリストとして彼がクレジットされるのは初めてだと思います。
甲田 : ちょっと尖ったギターが欲しかったんです。魂で弾いているみたいな、ある意味では浮くような濃色のギターが。ダッチさんがMVを撮ってくれることは決まっていたし、世界観も理解してくれているし、彼自身もバンドをやっているし、面白いんじゃないかなと思って。どんなギターになるかわからなかったけど、本人がいちばんやる気を出してくれて。
――すごく気合の伝わってくるギターでした。この曲の意味やまっぴーさんのやりたいことを、相当考えたんだろうなと。
甲田 : めちゃめちゃ伝わってる! そう、めっちゃ考えてくれる方なんです! 「こっちの音色の方がいいかなあ?」って何パターンかデモを送ってくれたりして。ほんとにお願いしてよかったです。
――ジャズピアニストとして始まり、今回はシンガーソングライターとしてデビューし、ロックやジャズやヒップホップを織り交ぜた楽曲を発表しました。今後はどんなことに挑戦していきますか。
甲田 : ずっと好きなことを衝動的にやってきたけれど、これが自分の中でほんとにいちばんやりたかったことで、他にやりたいことは、現時点ではありません。やっといちばんやりたいことがはじまった感じです。昔から、ひとつのことを研究したり練習したりするのがすごい好きなタイプで、はじめるからには突き詰めたくなっちゃうんですけど、歌には、ピアノに出会った時と同じくらいの楽しさを感じています。だからたぶん、歌はこの先ずっとできるんじゃないかと思ってい
て。どんなことができるのか、自分なりにこれからいろいろ研究していきたいと思っています。
1st Digital EP『California』
2021.11.5 Fri Release!
(10/22 Fri 0時より「M1. California」先行配信開始)
配信はこちらから
甲田まひる
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