LADY BABYインタビュー
みんなの居場所になりたい(れい)
――2人体制になってちょうど1年が経ちました。この1年で何か変わったことはありますか?あるいは、変わらないことがあるとすれば、それは何ですか?
黒宮れい : 変わったことは、楽曲面において、よりメッセージ性を強く出せるようになったことです。今のれいと理江が歌える歌が多くなったのと、ライブで一体感が出る曲が増えました。変わらないことは、みんなの居場所になりたいっていう想いです。ポップだけど、根本的に伝えたいことは一緒です。
金子理江 : 2人になってからは、見せられるものの範囲が広がりました。夢や笑顔だけじゃなくて、もっと現実味のあるものを見せられるようになったというか。3人体制の時より自由になって、れいと理江の2人の世界を出せることが増えてきた。だから素直になれるようになりました。
――昨年の11月末にインタビューさせていただいた時と比べると、この半年で2人とも、本当に大人になられたなあという印象を強く受けます。
れい : ほんと?嬉しいです。
――新曲『Pinky! Pinky!』は「指切り」がテーマです。「指切り」は、約束する時、相手に誠意を見せるためにやるものですね。LADY BABYは、誰に、何を約束するんでしょうか?
れい : れいと理江のあいだでは、あんまり約束ってしないんです。決まりごとは特にないし、決めることでそれに縛られたくないという思いがあって。でも、ファンの方とは約束したいんです。いまワンマンライブを控えてるんですけど、今後はもっと大きなステージでもたくさんライブができるようになりたいし、そういうアーティストになりたい。そういうことをみなさんに約束できたらなって思います。
理江 : れいが言ったように、自分も約束って好きじゃないんです。約束をすることでお互いに「こうでなきゃいけない」みたいな縛りができることがイヤで。そういったものがなくてもお互いに通じ合えたりとか、自然と約束みたいな形になるのがいいなって思ってるんです。だから、普段れいと約束はしないけど、LADYBABYとしての活動を本気でやっていくことっていうのは約束に近いのかもしれないですね。これから先、売れたいとは思うけど、それは「誰にでも受ける売れたい」じゃなくて、うちらのことをいいなって思ってくれる人をもっと広げたい気持ちが強いですね。うちらはうちらのままで、やりたいような音楽や、金子理江と黒宮れいがひとつになった時の表現をやっていく。それを「いいな」って思ってくれる人たちが増えてくれたら嬉しい。そういう気持ちで頑張りたいです。
たった3〜4分の曲の中にひとつの物語が込められている(理江)
(LADYBABY『Pinky! Pinky!』MV)
――『Pinky! Pinky!』だけでなく、今回の3曲とも、ライブが楽しみな曲ですね。
れい : 『Pinky! Pinky!』は、ライブで小指と小指をフォーカスする振りがあるんですよ。LADYBABYのライブは、そうやってお客さんとの掛け合いで一体感を出して、みんなと一緒に作っていく会場を目指したいです。
理江 : 『Pinky! Pinky!』は、今までのLADYBABYの曲とは少し違った曲調ですよね。最初のシャウトもそうだけど、AメロBメロ、サビ、落ちサビ、すべてに対してめまぐるしく展開が変わっていく。歌詞にも、怖い部分や約束に対する重さ、れいと2人で語りかけているようなストーリーやメッセージとか、たくさんのものが詰まってて、いろんな楽しみ方できる曲になりました。その中でも、声の表現を使い分けたところがたくさんあって、そこはレコーディングの時に苦戦しました。でもこの声の使い分けがあるからこそ、たった3〜4分の曲の中にひとつの物語が込められてるってわかる。だからこそ、ライブでお客さんと掛け合ったりするのが楽しいし、「約束はこういうものなんだよ」っていうのを伝えることもできる。そういういろんな要素が詰まってるのが『Pinky! Pinky!』だと思います。
殺意がないと生きることができない(れい)
――『Me! Me! Me!』はSNSをテーマとした曲ですが、「深読みは困るけどね」という歌詞が気になりました。SNSでの発言や歌詞を深読みされること、あるいは逆に浅く読み取られることや、意図したこととまったく違って受け止められることが多々あると思いますが、そういったことについて何か思うことはありますか?
れい : 私は理江と比べると発言が強いので、そこだけ読み取られて「怖い」とか「暴言吐いてる」とか思われてしまうんですけど、殺意が原動力になるタイプの人間なので、そういうのがないとライブもできないし喋れないし、もっと言えば、生きることができないんです。だから、そういうものをどんどん溜めてって爆発させるのが好きで、意外と批判も好きなんですよね。深読みされることは、その時は本当に辛いし苦しいけど、ライブに来てくれたら自分たちの想いや熱量が伝わると思います。やっぱり表面だけで見られたくないから、ライブは本当に本気でやってます。
理江 : 私は逆で、自分が15〜16歳の時は感情をSNSに吐くっていう習慣がなかったんですね。だから、SNSで自分の感情を表現するよりは、地元に帰ったり、自分のことをちゃんと理解したいと思ってくれてる人だけがわかってくれればいいと思ってました。今はSNSが当たり前にあって、たったひとつの発言でもいろんなコメントがバーっと押し寄せて来るじゃないですか。それって別に悪いことではないと思っていて。仮に叩かれたとしても、「あ、この人はこういう価値観でこういうことを言ってるのか」って知ることができるのがすごく興味深いですね。ただ、自分に対しての発言でそれを見ているというより、周りで盛り上がってるのを見ていることが多いです。
――理江さんには、どこか達観しているところがあるんでしょうか?
理江 : わーっと盛り上がってる輪の中に入っていけないんですよね。入るのではなくて、見てしまう。
「支配感」のようなものに襲われている(理江)
――『Generation Hard Knocks』のサビは、今回の3曲の中でもっとも力強く歌われているように感じました。この曲は、アルバム『One Year Best~2015-2016~』に収録されていた『School of Hard Knocks』と繋がりはありますか?
(LADYBABY『school of hard knocks』MV)
れい : インディーズ・ベストとしてリリースしたアルバムに入ってる『School of Hard Knocks』は、視点が学校の中の自分にあったんですね。学校の中で自分たちがとらわれてるという状況で、でも学校だけじゃなくて世界にはもっと自分の居場所があるんだよ、っていう曲。今回の『Generation Hard Knocks』のテーマは「年齢」です。年齢にとらわれなくていいんだ、と。その代わり、10代のもろさや葛藤が含まれてる。たとえば、いま10代の子って「死にたい」って普通に言っちゃうじゃないですか。この曲ではそういう気持ちも全部肯定してて、肯定してるからこそ、「もっと綺麗に生きてたい」とか「綺麗なままで」ということを歌っているんですね。理江が19歳で10代最後だし、まさにLADYBABYとして今歌える歌っていう気がします。きっと19歳から20歳になる時って、いろんな葛藤があると思うんです。周りの子が結婚して子ども産んだりする中、自分はこんなことやってていいんだろうか?って悩んだりすると思うんですよね。そういうのも含め、理江が思ってることやれいが思ってることをこの歌で全肯定したいし、周りの子やファンの子たちが葛藤してても、うちらは肯定したいなと思います。
理江 : 歌い出しの部分で「どんなイロに染まってあげたら/セカイはわたしを 愛してくれるの?」っていう歌詞がありますよね。私の中では、大人になるにつれてどんどん誰かが求めるイロになっていかなきゃいけないという「支配感」みたいなものに襲われてる感覚がずっとあるんです。だからこの歌詞を見た時に「すごくいい歌詞だな」って思いました。自分のイロじゃなくて、誰かのイロをただ押し付けられてる感覚。愛されたいわけではあるけど、でも、他の人のイロじゃなきゃ愛されないって、じゃあどんなイロになればいいの?って思うんですよ。押し付けられたイロを受け入れたら受け入れたで、さらにもっと違うイロを求められたりもするし。そうすると、自分はいったい何をやってるんだろう?って思ってしまう。いま自分の将来が見えなかったり、自分のことがわからなかったりして、「自分はいったい何をしてるんだろう?」って思ってる人はたくさんいると思うんです。そういう中で、希望とか居場所を見つけたり、もろさを強さに変えたりっていうことを前向きに歌っている曲なので、そういう意味で自分も何か見つけられるものがあればいいなと思っていますね。それは難しいことだけど。
スタンスは変わってないけど、手法が変わった(れい)
――やはり、こうして話していると、昨年の11月末に行ったインタビューの時からの精神的な成長をすごく感じます。あの時は「夢は見ない。現実を解決し、目の前のものを破壊しながら、行けるとこまで行く」というようなことを答えていたのが印象的でしたが、今の2人の目の前にある「解決すべきもの・破壊すべきもの」って何でしょう?それは変わりましたか?
れい : やっぱり11月の頃と比べて変わったきっかけが、今年の2月にやった東名阪ツアーだったと思います。それで地方の人や、今まで会えてなかった人たちにたくさん会ったことが大きいですね。10代の人って、そんなにしょっちゅう東京には来られないわけじゃないですか。だから自分たちが会いに行くことってすごく大切だと思いました。「目の前のものを破壊しながら、行けるとこまで行く」っていうスタンスは変わってないけど、その手法が変わったんだと思います。ライブの本数を増やすことや、女子限定男子限定のライブをすること、YouTubeにいっぱいMVをアップすること、そうやってライブに来られなくても会える方法を増やしたいなと思うようになりました。「遠いから」っていう理由で距離を感じてほしくないんですよね。だからそういう距離を感じさせないために色々できたらいいなって思えたことが、変わったことですね。
――「自分たちの表現したいことを届けていきたい」っていう気持ちが、半年前よりかなり強くなったんでしょうね。
理江 : やっぱり前は、メジャーデビューした直後ということもあって、見えないものがたくさんありすぎたんです。だから今ここでゴールを決めるのはよくないなと思ってたんですね。そういう状態で夢を打ち出したところで、何かが見えるようになるわけではない。そう考えていたのは、きっとその時の自分たちなりの挑戦だったと思います。私は、夢というものにそれほどこだわりはないんですよね。夢を見ることはいいことだと思うけど、うちら2人で夢を見るより、みんなで夢を見たい。みんなで行きたいところへ行きたい。それを夢と呼ぶかどうかはわからないですけどね。でも今はとりあえず恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを埋めなきゃいけないし、そうやって近い目標を設定すると、次の目標もまた出てくるじゃないですか。だから出てきた目標に対してどんどん積み重ねていけばいいと思うんです。それと、今10代で見せているこのLADYBABYっていう見え方も、うちらが成長するごとにまた変わっていくものかもしれないし、そういった面で、時代だったり、自分たちの感情や考えに合わせてどんどん変化し続けられるグループでいたいんですよね。『ハリー・ポッター』って、「賢者の石」から「死の秘宝」に至るまで、映像から何から、全てがどんどん変わっていくじゃないですか。ああいう感じで、自分たちも成長し続けられたらいいなと思ってます。
年齢にとらわれずに生きていたい(理江)
――理江さんはもうすぐ20歳になりますけど、10代から20代になるにあたって、何か思うことはありますか?
理江 : 楽しみではあるけど、年齢にとらわれない生き方をしたいなと思ってます。考え方は年を取ったりその時の状況で変わると思うけど、今私が思ってるのは、20歳、あるいは30歳や40歳になったからといって、年齢にとらわれることなく、自分がしたいことをずっとやっていきたいなって思ってます。
――まさに『Generation Hard Knocks』ですね。れいさんは、20歳になったらどんな自分になってると思いますか?
れい : シャカになりたい。
――……シャカ?
理江 : てか20歳になったられいは口数まったくなくなるんじゃない?
れい : ほんとにそうなりそう(笑)。
――……え、今なんて言ったんですか?
れい・理江 : 「釈迦」。
――あー!釈迦(笑)!!
れい : いまは殺意を原動力に生きてるけど、怒らないようになりたい。ていうか、もう感情なんていらない。疲れちゃった、感情に振り回されて(笑)。
――れいさんは20歳まであと4年ですけど、これまでの4年とこれからの4年って、速度や濃度が変わってくるかもしれませんよね。
れい : 確かに、時間の感じ方って変わってきたかも。小学生の時に思ってた1年って超長かったんですけど、メジャーデビューしてから1年間、ここまですごい速度で走ってきちゃって、気付かないうちにいろいろ通り過ぎてる気がします。過ぎたものって取り返しつかないし、こうやっておばあさんになっていくんだなって思ったから、もっと一日一日を大切にしたいなと思うようになりました。
――これが16歳の発言……。
理江 : 私は昔と比べると今の方が吸収率が高くなってると思っていて、自分のキャパシティをもっと広げたいと思ってますね。大人になっても成長を止めることなく、1年ごとにいろんなものを取り入れていきたいです。
「アイドル」とは
――LADYBABYのキャッチコピーには「最強最果てアイドル」という言葉がありますが、お2人にとって「アイドル」って何でしょう?
理江 : 「アイドル」ってくくりは、何かすごくキラキラしていて、いつも笑顔を振りまいているとかあまり感情を表にしないとか、そういうイメージがあると思いますけど、私はそういう世間的な「アイドル」をアイドルだとは思っていなくて。だから私たちは私たちのLADYBABY像っていうものをもっとはっきりと確立させて、独自なものにさせていけたらいいなと思ってます。
れい : うちたちって、ファンがいないと成り立たない職業ですよね。だからひとりひとりに思うことは、いろんなアイドルがいる中で、きみの、ひとりひとりのいちばんのアイドルを、れいや理江にしてくれてありがとう。そう伝えたいです。
取材終了ー!
おやつ食べた後についたクリームを拭くの図。 pic.twitter.com/8ZMLV4iXwN— LADYBABY (@ladybaby2015) 2017年9月19日
リリース情報
LADYBABY 3rdシングル『Pinky! Pinky!』
<初回限定盤(CD+DVD)>
KICM 91810 ¥1,667+税
CD
1. Pinky! Pinky!
2. Me! Me! Me!
3. Pinky! Pinky! -off vocal ver.- 4. Me! Me! Me! -off vocal ver.-
DVD
「Pinky! Pinky!」Music Video + Making Video(予定)
<通常盤(CD)>
KICM 1811 ¥926+税
1. Pinky! Pinky!
2. Me! Me! Me!
3. Generation Hard Knocks
4. Pinky! Pinky! -off vocal ver.-
5. Me! Me! Me! -off vocal ver.-
6. Generation Hard Knocks -off vocal ver.-
ワンマンライブ「ONEMAN PARTY 2017 -THE BATTLE OF TOKYO-」
17/10/28(sat) 東京・恵比寿リキッドルーム
OPEN 16:30 / START 17:30 前売り4000円/当日4500円(D別)
information : キングレコード TEL. 03-3945-2111/ベルウッドアーティスト TEL.03-3945-2147
その他詳しい情報はこちらからチェック
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