牧師の父を持ちクリスチャン家庭に育ったDedachiKenta(でだちけんた)。小学1年からインターナショナル・スクールに通う一方、ギターを弾きながらワーシップ・ソング(ポップ・ミュージックに近いモダンな形態の讃美歌)を歌い、世界的な注目を集めていた。やがてオリジナル曲を綴って自分の言葉で歌うようになった彼は、昨年11月にデビューを果たし、現在はLAで大学生活を送りながらミュージシャン活動を行なっている。10月30日に早くも、自身の成長の過程を記録したソウルフルなファースト・アルバム『Rocket Science』を発表したこのルーキーが、そんなユニークな経歴と、ソングライターとしても歌い手としてもスケール感を覗かせるアルバムの制作プロセスを振り返ってくれた。
Photography_Yohei Fujii
Interview&Text_Hiroko Shintani
Edit_Miwo Tsuji
幼い頃からすぐ近くにあったのは、ワーシップ・ソング
――子供時代に、自分は歌が好きな人間なんだと自覚した瞬間を覚えていますか?
DedachiKenta(以下Dedachi) : 歌はずっと好きだったんですけど、思い出せる1番古い記憶は、叔母の結婚式に行って、家族で『オー・ハッピー・デイ』(18世紀の讃美歌に根差したゴスペルの定番曲のひとつ)を歌った時です。僕がソロを歌うことになって、その時に「ああ、自分は本当に歌が好きなんだ!」と実感しましたね。
――『オー・ハッピー・デイ』もそうですが、いわゆるワーシップ・ソングが身近にあったんですね。
Dedachi : 一番自分にとって馴染みがあるというか、小さい頃からずっと歌ってきた音楽だから、一番ナチュラルに歌えたのがワーシップ・ソングでした。14歳の時にYouTubeのチャンネルを作って、最初はそればかりやっていたんです。でも小学生の頃からエド・シーランやテイラー・スウィフトやアデルとかそういうポップ・ミュージックも聴くようになりました。
――では、ミュージシャンとして生きていきたいと真剣に考え始めたのはいつ頃?
Dedachi : YouTubeをやっていた時ですね。最初の2年間は趣味で、楽しいからやっていたんですけど、世界中の人に聴いてもらえるようになって、たくさんのコメントを頂いて、「これをずっと続けて行きたいな」と。そう思い始めたのがきっかけのような気がします。
――当初はワーシップ・ソングのほか、エドをはじめとし、他アーティストの曲のカヴァーをアップしていたDedachiさんが、オリジナル曲を書き始めたきっかけは?
Dedachi : 『This Is How I Feel』(18年12月5日にリリースしたデビュー・シングル)が最初のオリジナル曲で、17歳のときに書きました。本格的には去年の5月頃、KOSENさん(アルバム『Rocket Science』のサウンド・プロデューサー。Colorful Mannings名義で活動するほかThe Beatmossの一員でもある)と出会って、彼が僕のソングライティング・スキルを引き出してくれたというか。出会ってから曲がどんどんつくれるようになりました。曲によってプロセスは違って、どの楽器を弾くかによって歌のニュアンスとかが変わってくるんですけど、だいたいはギターで書きます。メロディが浮かんできたら、それをギターのコードで弾いて、同時に歌詞も考えたりして。そしてKOSENさんに送ってフィードバックをもらって、ブラッシュアップしていって。
――「こんな楽器を入れたい」とかアレンジのアイデアも、曲を書いた時点で頭に思い浮かぶ?
Dedachi : そうですね。デモの段階で方向性は自分で作ってから、KOSENさんに渡そうとしています。ちゃんとコミュニケーションを取りたいから。こういう音にして、こういう楽器をこういうところに入れて……と。それは自分で打ち込んだりしてから送っていますね。
――歌詞は基本的に英語中心で、日本語がふと絶妙なタイミングで織り交ぜられています。どんな風に言葉を使い分けているんですか?
DedachiKenta / Fly Away feat. Kan Sano
Dedachi : やっぱり僕は、聴いていた音楽が全部英語だから、ナチュラルに出てくるのが英語で、だいだい全て歌詞は英語で書くんです。でも『Fly Away(feat. Kan Sano)』や『Ambiguous』とかは、「日本語の歌詞をトライしてみよう」という試みとしてチャレンジした曲でした。今回のアルバムは、世界にも出したいけど、基本的に日本に向けたアルバムであり、日本のオーディエンスにもよりわかりやすく伝えたいと思って、『Fly Away』や『Ambiguous』、アルバムのリード・トラックの『Life Line』には日本語をきれいに入れたかったんですよね。
SHARE
Written by