ギター&ボーカルのTK、ベース&ボーカルの345、ドラムのピエール中野の3人から成る凛として時雨は、今や日本の音楽シーンにおいて確固たる地位を築いた。そんな彼らが、1年ぶりとなるツアー<Tour 2019 Golden Fake Thinking>を開催。来たる6月22日、超満員の豊洲PITで行われたライブの模様をレポートする。
Photography_Yuki Kawamoto
Text_Sota Nagashima
昨年、アルバム『#5』のリリースツアーである<Tour 2018 “Five For You”>を行って以来、1年振りとなる今回のツアー。各々がソロなどで活動をし、3人揃ってでは久しぶりのツアーとあってファンの期待が高まった。その証拠に、都内でも屈指の大型ライブハウスである豊洲PITは、超満員の熱気に包まれていた。
新旧の人気曲たちに上がり続ける会場の熱気
オーディエンスの期待に応える、TKの強烈なシャウトとともに1曲目『ハカイヨノユメ』がスタート。ライブは冒頭からフルスロットルで幕を開ける。その後も1stアルバムである「#4」から、『Sadistic Summer』、『鮮やかな殺人』を立て続けに披露。序盤から初期の人気曲たちが披露され、昔からのファンにとっては嬉しいセットリストとなった。フロアで思い思いに掲げられた拳から、その喜びが伝わってくる。畳み掛けるように『DISCO FLIGHT』のイントロが会場に鳴り響き、会場のボルテージは早くも最高潮になった。
MCを挟むことなく淡々と狂気的に、時雨劇場は進んでいく。初期のナンバー中心かと思えば、昨年リリースされた6枚目のアルバム「#5」から、「Chocolate Passion」「DIE meets HARD」を投下。続けて2009年発表の「just A moment」より「a 7days wonder」を披露。常々メロディを大事にしていることを公言しているTKらしいメロディアスなナンバーが会場をさらに一体化させた。
お次の『Serial Number Of Turbo』では、珍しいアコースティックギターの演奏。続いて『seacret cm』でも儚くも切ない音色が会場を包む。少しだけ落ち着くかと思ったのも束の間、『想像のSecurity』『感覚UFO』という共に2006年にリリースした2曲で、再び3人にしか出せない轟音を鳴り響かせる。
鬼気迫る圧巻のドラムソロから新曲披露
気づけばライブも終盤戦。TKと345が一旦ステージから姿を消す。すると、打ち込みのトラックが会場に日々鳴り響き、ピエール中野がテクニカルにドラムを叩き出す。数分にも及ぶそのドラムソロは実に圧巻。歓声も鳴り止まない中、2人がステージに戻るとこの日初披露となる新曲『Neighbormind』が演奏された。これは映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』日本語吹替版の主題歌。ピエール中野のタイトなドラミングに、TKと345のツインボーカルが映える渾身の1曲だ。さらに、同曲と両A面シングルとなる『laser beamer』を続けて披露。こちらは「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」の主題歌となっている。
ファンが気になっていた新曲が立て続けに披露されたところで、ライブももう残すところ後僅か。先程まであの骨太なベースを弾いていたとは思えない、のほほんとした345によるMCでグッズ紹介が始まる。そして「また3人でライブをやるので、ぜひ遊びに来て下さい」と最後に一言を添え、時雨劇場はクライマックスへ。
『Telecastic fake show』『nakano kill you』という凛として時雨の代表曲たちを、凄まじい勢いで演奏。精一杯に拳を振り上げる男性、345のボーカルを一緒に叫ぶ女性、それぞれのやり方で観客もバンドに応える。最後は、また1stアルバムから『傍観』を披露。静かに切ないTKのボーカルとメロディが会場を包み大団円。新旧の名曲たちが入り乱れ、凛として時雨のこれまでとこれからを繋げるエモーショナルな一夜となった。
<凛として時雨 Tour 2019 Golden Fake Thinking>
2019年6月22日@豊洲 PIT
1.ハカイヨノユメ
2.Sadistic Summer
3.鮮やかな殺人
4.DISCO FLIGHT
5.Chocolate Passion
6.DIE meets HARD
7.a 7days wonder
8.Serial Number Of Turbo
9.seacret cm
10.想像のSecurity
11.感覚UFO
12.Neighbormind
13.laser beamer
14.Telecastic fake show
15.nakano kill you
16.傍観
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