~駄作と傑作。日本一のメロディーメーカーが語る~1000曲の駄作を作って1曲の傑作が生まれる。
傑作楽曲メーカーシロセが語る。傑作とは。
ミーティアで書くのは、最後のコラムでしょうか。
半年間書いたコラム、皆さん読んでいただいてありがとうございました。
最終回も、遠慮せず、いつもと変わらず、駄作を書いてやろうと思います。
テーマは「駄作と傑作」か。いつもいつも、変なテーマでありがたい。書いてるこっちが面白いです。ミーティアのスタッフさんありがとうございます。
第1章 ~全部駄作~
まず僕自信は、傑作をかける人間だとは思ってない。僕の書いてきた作品は最強の駄作。1日1曲の駄作、のべ2600曲。
普通に生まれてきて、普通に生きてきて、普通に頑張って、普通に大人になった人間に傑作なんて産めるはずがない。ピカソや、エジソンや、モーツァルトを見てみろ。あいつらはもともと、類い稀な環境に生まれ、生きてきた人たちだ。くそー。
だから僕はこの世の中に傑作を産んでやろうなんて思ってないし、俺の音楽が世の中を変えるとは思ってない。
その代わり、誰にも負けないくらい毎日1日1曲駄作を生み続けてやろう。それも自分自身のためだけに。そう思って、適当に毎日曲を作っている。作っているというより考えていることを、メモっている。
第2章 ~日本の傑作~
じゃあ日本の傑作ってなんだろう。
俺は、「ウォシュレット」だと思う。おしり、ビデ、乾燥まで、誰が考えたんだろう。普通に紙で一生懸命拭いているような業界標準の中で、誰が始めに「洗浄したい」と想像したんだろうか。
きっと、それを考えた人も、「傑作を作ろう」なんて思ってなかっただろう。単純に、自分が洗浄したくて、それを誰かが誰かに共有して、次第に「傑作」になっていったんだと思う。
そんなウォシュレットに勝てるような曲を、ミュージシャンはかけているだろうか
第3章 ~ゴミメモ~
ゴミのようなメモの山。中学1年生の冬から、ずっと1日1ページ、メモを書くようにしている。僕はその延長で、曲を作るようになった。だれもがノートに思いを綴る。そんなどこにでもあるような、神様から見ればアリのようなメモだ。そして19歳になったある日、メモだけじゃ温度がメモれないことに気づいた。だから、それにメロディーをつけて記録しておくようになった。音楽っていうのは、文字だけじゃ残せない温度や匂いが記録しておける。
僕はそうして曲を作るようになった。自分のためだけのゴミのようなメモだ。本当は人に見られるのが恥ずかしい。
第4章 ~傑作を作りたい~
俺だって、傑作を作りたい。100年残る会社を作りたい。500年残るような絵を描きたい。1000年残る言葉を残したい。だとすると、傑作というのは1000年後のことを考えている人じゃないと、作れないと思う。ハードル高すぎかな。どうなんだいピカソ。
第5章 ~自分の中の傑作~
僕の中の傑作は、楽曲「ウソツキ」「咲かないで」になるのかな。きっとそうだろう。
あの曲を書いたときのことを思い出してみる。まず、あの歌詞を書いたのは中学生の頃だし、ウソツキは高校の頃か。「曲にしよう」なんて思ってなかった。最高の駄作だね。
「ウソツキ」という曲はお母さんが癌になっちゃって、でも家族はお互いに優しい嘘をついて、お母さんが癌だってことも言わなくて。なんかそんなことをメモしていただけだたった。
大人になってあの歌詞を、曲にした。だけど、それは自分のためにメモのように曲にしただけだった。もしあの曲を「傑作」とよんでくれる人がいるとしたら、嬉しいけど申し訳ないな。俺は独り言のつもりで歌っている曲だったから。
あの曲が完成した日のことを例えるなら、ウォシュレット考えたおじさんが初めてそれを使ったっときくらいの究極の自己満足だっただろう
だけど、歌って、歌い続けていて、思えるようになった。自分にとっても「傑作なのかな」って。
それは、救われた人がいて、泣いてくれた人がいて、関わってくれた人がいて、巻き込まれた人もいて、いろんなことを教えてくれた曲だから。作った時は想像もしていなかったようなことだ。
だから作品っていうのは、作った時に傑作になるんじゃなくて、見る人も聴く人も含めて、傑作になっていくんだと思う。だから、「傑作」は僕一人が作るものじゃない
ウォシュレットのように使って使って使い続けた末に、「もうウォシュレットなしのとこに引っ越すのはやめよう」と後から思えてくるような力が傑作のレシピなのだと思う。
俺の曲で、泣いてくれてありがとう。
第6章 ~自分が死んだら~
もし自分が死んだら、自分の歌はまだ歌われるだろうか。それは10年だろうか。100年だろうか。
1000年だったらいいな。だけど、「1000年残る作品を書こう!」なんて思ってない
ピカソも、ダビンチも、エジソンも、ゲーテも、1000年後のことを考えているだろうか。もしかしたら、彼らも、ウォシュレットのように自分がケツを洗浄するために、描きつづげていたのかもしれない。
だとしたら、傑作とはなんだろう。傑作とは、自分で作るものではないのかもしれない。それを見た人、きいた人、ウォシュレットを使った人がいたとして、「アァこれは多くの人のケツを洗うべきだ」と思った、知り合いの誰かが傑作として育てていくのかもしれない。
俺が死んでも、俺の曲でみんなケツを洗い続けてくれるのかな
第7章 ~ウォシュレットのように~
今、日本には、ウォシュレットのような傑作があるだろうか。
USBのメモリをより多く、より大容量にすることに意味はあるのだろうか。
歌手があれだけ華やかな演出をする必要が、あるだろうか。
ねぇだろ
日本のエンターテイメントは、技術だけが発展している。
「先進国」とか言ってるのは、大きな勘違いだ。外の人たちはこれっぽっちもそんなこと思ってない。
頑張れ日本。
第8章 ~何かを作るときには~
何かを作るときには、それがある意味を考えてみてほしい。
「傑作を書こう」「ヒットを作ろう」「名曲だなこれは!!」 そうじゃない
それで誰が救われるんだろう。自分の作ったウォシュレットを誰が求めているのだろう。
そして、誰かがその意味に気付いたら、それを伝えていけばいい。
そうすればウォシュレットは、永遠の「傑作」になるのだろう。
ただ絶対に、洗浄レベルを「強」には、設定しないでくれ。
絶対にしないでくれ。
SHIROSE from WHITE JAM
「ウソツキ」
「咲かないで」
WHITE JAM ワンマンツアー2016 「WHITE JAM BEST」開催決定!!
WHITE JAM、10月5日(水)発売のベストアルバム「WHITE JAM BEST」を引っさげて
全国11ヶ所、ワンマンライブツアーの開催が決定致しました。
【初日・神奈川公演】
日程:2016年11月13日(日)
場所:神奈川 横浜BAYSIS
時間:開場16:30/開演17:00
【2日目・静岡公演】
日程:2016年11月26日(土)
場所:静岡 浜松Force
時間:開場16:30/開演17:00
【3日目・京都公演】~シロセ地元スペシャル~
日程:2016年11月27日(日)
場所:京都 KYOTO MUSE
時間:開場16:30/開演17:00
【4日目・福岡公演】
日程:2016年12月3日(土)
場所:福岡 福岡INSA
時間:開場17:30/開演18:00
【5日目・広島公演】
日程:2016年12月4日(日)
場所:広島 広島Cave-be
時間:開場16:30/開演17:00
【6日目・石川公演】
日程:2016年12月9日(金)
場所:石川 金沢AZ
時間:開場18:30/開演19:00
【7日目・大阪公演】
日程:2016年12月10日(土)
場所:大阪 梅田クラブクアトロ
時間:開場17:00/開演18:00
【8日目・北海道公演】
日程:2016年12月16日(金)
場所:北海道 札幌COLONY
時間:開場18:30/開演19:00
【9日目・宮城公演】
日程:2016年12月18日(日)
場所:宮城 仙台MACANA
時間:開場16:30/開演17:00
【10日目・東京公演】~クリスマススペシャル~
日程:2016年12月23日(金)
場所:東京 shibuya duo MUSIC EXCHANGE
時間:開場16:30/開演17:00
ゲスト:ZOLA
【11日目・愛知公演】~クリスマススペシャル~
日程:2016年12月25日(日)
場所:愛知 名古屋クラブクアトロ
時間:開場16:30/開演17:30
詳細:オフィシャルサイト
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