これからの日本の音楽界をけん引するであろう、ロックバンドSpangle call Lilli line(スパングル・コール・リリ・ライン)。Felicityに所属する彼らの音楽を、やわらかくもみずみずしいサウンドと評すとともに、その歌詞はありきたりな言葉を選ばず、どこか聴くものにその意味を委ねているかのよう。
わかりやすい言葉はない、抽象的で他にはない歌詞が魅力。
1998年、美術大学時代の友人だったヴォーカルの大坪加奈と、ギターの藤枝憲でバンドを結成したのがSpangle call Lilli line(スパングル・コール・リリ・ライン)の始まりだ。後に同じく大学時代の友人だったギターの笹原清明とベースの椛沢信之が加入4ピースバンドの形となった。その名前の由来は、長い名前と、キラキラした感じということで「スパンコール」という言葉を使いたかったとのこと。美術大学出身メンバーならではのこだわりだ。後に椛沢信之が脱退すると、現在の3人体制が確立し、それぞれがアーティストとは平行して違った職業を持ち、生計を立てていることでも話題の彼ら。「音楽は趣味」と言い切り、奏でたい音楽を追及する姿は圧巻だ。
音楽はあくまでも趣味である、と言い切る彼らの表現に底はない。
メンバーは前述の通り、それぞれがデザイナーやフォトグラファーとしても活動。ギターメンバの笹原は、東京造形大学卒業後、カメラマンとしても活動し、音楽誌やファッション誌、その他ビジネス誌でも活躍中である。それぞれが違った一面を持つことが、音楽にも良い影響を与えているのだろうか。常に一定の評価を得、ライブを成功に導く彼らは、音楽を趣味とは言うものの、そこに懸ける情熱は並大抵のものではない。音楽以外の表現を体現し自らの幅を広げることで、さらに音楽がより深みを増していく。趣味と実業が相乗効果で進化し続けているのが彼らの強みなのかもしれない。
音楽とは、そもそも楽しむものなのかもしれない、というスタンス。
Spangle call Lilli lineと並行し、2009年からはヴォーカルの大坪がソロプロジェクト「NINI TOUNUMA」で活動、さらに笹原と藤枝は「点と線」というユニットで活動するなど、音楽でも幅広いジャンルでの挑戦を続ける彼ら。国内外問わず様々なステージでの音楽活動を続けており、2013年には結成15年を迎え、ベストアルバムをリリースした。その際、ライブ活動を休止することが発表され、現在は制作を中心に活動を行っている。あくまでも音楽は趣味で、人生のガス抜きであるという彼ら。音楽とは、本来そういうものなのかもしれない、と思えるのが彼らの魅力なのかもしれない。これからの彼らの新たな挑戦は予測できない。だかららこそ、これからが楽しみなバンドだ。
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