ヤバイTシャツ屋さん(以下、ヤバT)が6/16に東京・新木場STUDIO COASTにてワンマンライブを開催した。本ライブは、4月にリリースしたシングル『どうぶつえんツアー』を記念して5月より開催された初のワンマンツアー『”どうぶつえんツアー” ツアー 2017 〜ワンマン〜』の追加公演として行われたもの。当初予定されていなかった追加公演だが、恵比寿リキッドルームで行われたセミファイナルに応募が殺到し、急遽、さらに大きい会場である新木場STUDIO COASTをおさえることになったという。その追加公演のチケットもソールドアウトし、会場には約2800人のオーディエンスが押し寄せた。メジャーデビューからたった半年で大ブレイクを予感させるヤバT。本記事では、ヤバみと深みに満ちた当日の様子をレポートします。みんなfollow me!!
Text_Sotaro Yamada
Edit_司馬ゆいか
ヤバTのライブを言葉で表すのは、実は簡単だ。
「めっちゃ激しくて、めっちゃおもろくて、色々ヤバイw」
以上。
あとは実際に行って体感してみて!
だって、ヤバTは曲の中ではっきりこう言ってる。
偏差値が20ぐらい下がってく音楽で頭空っぽにして 1番のサビで覚えた感じでみんなで一緒に歌ってね
(ヤバイTシャツ屋さん『ヤバみ』より)
難しい言葉や考察や評論なんていらないんです。余計なこと何も考えずに頭空っぽにして、偏差値が20ぐらい下がってく音楽でウェイウェイするのがヤバTの楽しみ方ってこと。
ま、とはいえ、それじゃ記事にならないから一応ライブの様子を書きますが、まずはこれを見てヤバTの曲をさらっと聴いてみましょう。話はそれからだ。
「ヤバTって、なんか最近フェスとかでも名前見るし気になるけど、どの曲から聴いたらいいか分からへんわぁ〜」というそこのあなた!とりあえずこのアルバムを聴いてください!てかアルバムこれしか出てへんから!これ聴いといたら何とかなります!pic.twitter.com/FihHgMx2YY
— ヤバイTシャツ屋さん(バンド) (@yabaT_official) 2017年5月31日
ヤバイTシャツ屋さん『”どうぶつえんツアー” ツアー 2017 〜ワンマン〜』ファイナル
激しいメロコアとおもろい歌詞、特徴的なしばたありぼぼ(Ba. & Vo.)の高音、そして、ふざけてるけどよく見るとイケメンなこやまたくや(Gt. & Vo.)ともりもりもと(Dr. & Cho.)によるスリーピースバンド、ヤバT。
↑の動画を見ればわかる通り、曲のクオリティがめっちゃ高いです。そんなヤバTのライブはどんな感じかというと、こんな感じです。
新木場の写真を大放出だ わいわい🐊
📷@kaorin6009 pic.twitter.com/ZIhaEQxESE
— ヤバイTシャツ屋さん(バンド) (@yabaT_official) 2017年6月17日
左上の写真。左から、うさぎ、ライオン、くま、ですね。
もう一回言う?
うさぎ、ライオン、くま、です。
これが、ヤバTのライブのオープニングです。
マンウィズやセカオワのDJ LOVE的なアレじゃないんです。ヤバTの三人、元々は人間なんだけど、なんと、悪の力によってどうぶつの姿に変えられちゃったんですね〜。恐ろしい。メジャーデビューするとこういうリスクがあるのか。世間の感情のピクセルが強すぎたのかもしれないですね。
同郷・岡崎体育『感情のピクセル』
どうぶつの姿に変えられちゃってライブができなくなったことを詫びる3人。しかし、元の姿に戻る方法がひとつだけあるという。
ライオン(こやま)「そのためには、2800人の力が必要なんだ。だけど、そんなにたくさんの人がどこに……」
うさぎ(しばた)「前を見て!」
ライオン(こやま)「……(ハッとして)2800人、いるー!! みんな、『タンクトップ』って叫んでくれ!!」
オーディエンス「タンクトップ! タンクトップ!」
こうして、2800人の老若男女が精一杯「タンクトップ!」と叫び続けることになった。悪の力に打ち勝つためには巨大なタンクトップパワーが必要なのだ。タンクトップ! タンクトップ! すると3人にはみるみる力がみなぎり、ステージ奥に巨大なタンクトップ神が出現!
ヤバイTシャツ屋さん 公式キャラクター タンクトップくん
こやま「う、うわああ〜〜〜〜!!」
やがて稲妻が轟き、ステージが煙で見えなくなり、次の瞬間、ステージ上には人間の姿に戻った3人が!!!
こやま「みんなのおかげで、人間の姿に戻れた! やったぁー! というわけで、ヤバイTシャツ屋さんワンマンライブ、はじまるよー!!」
そうして大声援の中、爆音の『Tank-top of the world』で演奏がスタートした。
……って、自分でもいったい何を書いてるのか意味がわからねーが、つまりはこういうことです。
本日のヤバイTシャツ屋さんワンマンライブ、オープニングの様子です。 pic.twitter.com/rSpFs5UcRH
— ヤバイTシャツ屋さん(バンド) (@yabaT_official) 2017年6月16日
タンクトップパワーで興奮するオーディエンス
ヤバTのライブは始まった瞬間にダイブ&モッシュ&サークルが発生する。この日も、前も後ろも関係なくオーディエンスは大暴れ。まるでスポーツ。ジャージ姿のオーディエンスがたくさんいたのは、そういうことだったんですね。ヤバTのライブにおいては、スポーツウェアが正装なのだ。まあ本当の正装はタンクトップだと思うけど。
3曲目『メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲』では(これを律儀に3曲目に演奏する)、こやまの「新木場全員飛べー!」というあおりにオーディエンスが総ジャンプ。STUDIO COAST全体が揺れまくりで、底が抜けるんじゃないかと思った。
一階席は戦場だったけど、二階席には微笑ましい光景も。この日は、小さい子ども連れの親子も目立っていて、会場での最年少は4歳の女の子(母親の自己申告による)。その女の子がヤバTの演奏に合わせて小さい手をふり体を揺らす様は本当にかわいい。幸せだ。見ているだけで頬が緩む。そんな光景を作り出しているヤバTは最高だなあ。
……でも、この子も将来はウェイウェイ大学生になるのかもしれないよなあ、と思うと、目頭が熱くなってきた。この4歳の女の子が将来、レッドブルでウォッカ割って飲んで吐いたり、スポッチャでオールナイトしたり、TwitterとかFacebookとか炎上したり、愛してもない先輩になんやかんやで抱かれがちになるのかもしれない(※歌詞の引用です)なーんてことを考えていると、いつの間にか筆者の頬を一筋の熱い水が伝うのだった。
涙ではなかった。汗だった。
暑いよ。
一階席の尋常じゃない熱気が二階席まであがってきてサウナみたいだ。冷房完備の国内最大級ライブホールを熱気だけで蒸し風呂にしてやがる。スゲエ。やっぱりタンクトップで来るべきだったな。こりゃあレッドブルでウォッカ割って飲みたくなるわ。
こやまたくや(Vo. & Gt.)
いつものように、ボケまくりの自己紹介が始まる。ミーティアでは過去に、ヤバT初の全国ツアー『”We Love Tank-top” TOUR 2016-2017』東京公演(@渋谷TSUTAYA O-WEST)のライブをレポートしているが、その時もテンポ良くボケとツッコミとカブセを連発する長い自己紹介に「あそっか、ヤバTって昔は芸人だったもんね」と軽い錯乱をもよおさずにはいられないのだった。今回も元芸人のスキルを存分に見せつけ(錯乱)、会場に爆笑の渦を巻き起こす。
しかし笑わされてるだけじゃ我慢できないのがヤバTのオーディエンス。ヤバTのワンマンファイナルだというのに、他のバンドのタオルを見せつけるように掲げる。そんなオーディエンスの小ボケを、こやまがしっかり拾う。一番多かったのはTHE ORAL CIGARETTES。
こやま「(右から)オーラル、オーラル、オーラル……、もう全員武道館行けや!(※この日、日本武道館ではTHE ORAL CIGARETTESがワンマンライブを行っていた)。あー、[Alexandros]な、かっこいいもんな。凛として時雨、メンバー編成いっしょいっしょ。RADWIMPS、前前前世から来てくれたんですかね、ありがとうございます。あーWANIMAね、いいですね僕も聴きます。10-FEET、10-FEETは同じ事務所の先輩やから全然OKです。……ヤバTのタオル少なっ!!」
こんなふうに、メンバーとオーディエンスが友達みたいな感覚でコミュニケーションできるのがヤバTのライブの楽しさのひとつだ。オーラルや10-FEETのタオルを振り回しながら『L・O・V・Eタオル』や『DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ』でオーディエンスは盛り上がっていく。
もりもりもと(Dr.)
MCでは自前の資料を元に大阪の地名などについてのプレゼンタイム。ここで説明される「天王寺」や「喜志駅」「あべのハルカス」「関関同立」等のキーワードが、その後の曲を理解するのに必要になってくる。天王寺は東京でいうと池袋、喜志駅は埼玉県志木駅に相当するらしい(「きし」と「しき」の回文ミラクル)。
その流れで3人の学生時代のアルバイトについても語られ(こやま→寿司屋。もりもと→ドンキ。しばた→コンビニ)、コンビニ時代にしばたが店長からつけられた変なあだ名をそのまま曲名にした新曲『ばたばたしばたさん』を演奏。アホみたいな歌詞だけど、こやまとしばたのハモりが美しい。そして人気曲『ウェイウェイ大学生』『天王寺に住んでる女の子』『週10ですき屋』『喜志駅周辺なんもない』と続けてオーディエンスをウェイウェイさせる。最年少の4歳の女の子は「四年でたくさん思い出作ろうぜ」のとこで両手をあげてました。将来有望。
しばたありぼぼ(Ba. & Vo.)
さらに初のタイアップ作品『とりあえず噛む』をライブ初披露。ロッテのキシリトールガム発売20周年を記念して始動した「COME ON! ENERGY! -噛もう! 未来に向かって!-」プロジェクト発表会で披露した際には、土屋太鳳が「衝撃が衝動に変わるすてきな歌。とりあえず噛みたいです」と発言するなど、とりあえず噛みたくなる曲。みんなとりあえずいっぱい噛んでDREAMを噛むTRUEしよう。
その後も『無線LANばり便利』で「ワイ!ファイ!」という世にも奇妙なコールを起こし、『ネコ飼いたい』では2800人による「ネコ飼いたい〜」の合唱が会場に響いて謎に感動的な雰囲気が生まれ、MVが衝撃的な『ヤバみ』ではなぜかヲタ芸を披露するオーディエンスまで現れるなど、ヤバTらしいウェイウェイライブは続く。
アンコールでは、まずはどうぶつたちを交えて写真撮影。もはやライブ冒頭の設定とかどうでもいい。だってふんいき良ければそれで大丈夫だから(『ヤバみ』より)。だけど集合写真にタンクトップ神が映れなかったのにはつらみがありました。
また、9/20に5thシングルが発売されることや、本公演のDVDが発売されることも発表された。
アンコール1曲目は、もりもとのくちびるチューニング(この日は指で塗るタイプのリップ)を経て『肩 have a good day』。美しいメロディにもりもとの微妙に音程を外してるっぽい口笛がかぶさると頭がおかしくなりそう。尾崎豊みたいにしゃがれた声で「肩幅が広い人のほうが肩幅が狭い人よりも発言に説得力が増す」とか歌うから、「どういう気持ちで見てたらいいの? 何のメッセージ性やねんこれ」とツッコミたい気持ちでニヤけてしまう。
最後はみんなお待ちかねの『あつまれ!パーティーピーポー』。爆裂音とともに銀テープが発射され、宙を舞う銀テープの下でパリピたちが狂喜乱舞の乱痴気騒ぎ。ステージ奥ではそれまで鎮座ましましていたタンクトップ神がついに踊りを召され、「しゃっ!しゃっ!しゃっ!しゃっ!しゃっ!Shirts!」というLMFAOもハマるワールドワイドなキラーフレーズは、神に捧げる祈りへと昇華された。
こうしてヤバイTシャツ屋さん『”どうぶつえんツアー” ツアー 2017 〜ワンマン〜』は平和で崇高な神の宴となり、幕を引いたのだった。ピース。
【まさかのメッセージ動画】
ヤバイTシャツ屋さんの楽曲「あつまれ!パーティーピーポー」のオマージュ元である「Shots」の作曲者、LMFAOのRedfooさんからメッセージ動画をいただきました!!ありがとうございます!!!!!!すげーーー!!!!!!!! pic.twitter.com/svsZJZKsIz— ヤバイTシャツ屋さん(バンド) (@yabaT_official) 2017年1月7日
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