LiSAさん、なんて人間力が高いんだろう。
彼女の中にある孤独や、それに立ち向かおうとする話は、本当に心を打たれて話を聞きながら何度も泣きそうになりました。
2011年のデビュー作品『oath sign』で10万枚のセールスを記録し、ゴールドディスクを獲得。衝撃的なデビューを飾った彼女はデビューから6年間、常に第一線を走り続けてきた。
その裏ではどのような苦悩や葛藤があったのか、今回の取材で語られています。4月19日に発売されたDVD『LiVE is Smile Always -NEVER ENDiNG GLORY- at YOKOHAMA ARENA [the Sun]&[the Moon]』と5月24日に発売される4thアルバム『LiTTLE DEViL PARADE』の話を交えながら、LiSAというアーティストの魅力を紐解いていきたいと思います。
Photography_KOUSUKE MATSUKI
text_真貝聡
Edit_司馬ゆいか
まずは、撮り下ろしムービーをどうぞ。
落ち込んでいる姿とか、弱い部分を見せちゃいけないと思ってた
――まずはLIVE DVD『LiVE is Smile Always -NEVER ENDiNG GLORY- at YOKOHAMA ARENA [the Sun]&[the Moon]』の発売おめでとうございます!
LiSA : ありがとうございます!
――発売に伴って、今日(4月11日)からアニメイト池袋本店で、LiSAさんの展示が始まりましたね
LiSA : アニメイトさんはいつもお世話になっているので、ご協力いただけてうれしいです!
――ということで、先ほどアニメイトに行ってきたんですよ(会場の写メを見せる)。
LiSA : わ〜! 本当だ。写真も撮っていただいて(笑)。
――会場のスクリーンには、そのLIVE映像が流れてました。
LiSA : そうそう、ダイジェスト版がね。改めて、あの2日間のライブはとにかく無敵だったなと思います。それは、わたし自身のコンディションが万全の状態で臨めたのもあるんですが、それ以上の景色をファンのみんなが見せてくれて。みんなのテンションを巻き込むって意味でも、すごく好調でした。それが『LiVE is Smile Always -NEVER ENDiNG GLORY- at YOKOHAMA ARENA [the Sun]&[the Moon]』では、MCも含めてそのまま収録されています。
――LiSAさんの熱量の高いパフォーマンスはもちろん、客席も相当な盛り上がりでしたね。
LiSA : みんなの表情も含めて、ライブの空気がそのまま詰め込まれていると思います。
――ライブ映像の次は5月24日に2年半ぶりとなる新譜もリリースされます。やっとという感じ? それとも早く出来たなって感じですか?
LiSA : あっという間に2年半も経ってたんだなって。シングルは計画的にリリースさせていただいてますし、ずっと音楽は制作していたので久しぶりだなって感じはないです。振り返ってみると、あっという間に2年半経ってたのかと感慨深いです。
――タイトルの『LiTTLE DEViL PARADE』はどういう意味ですか?
LiSA : 自分の中にある「これってワガママなのかな?」って気持ちだったりとか、「寂しいな」って感情とか、自分が許してあげられない弱い部分をリトルデビルと名付けて。で、そのリトルデビルたちも全部自分なんだって認めてあげて、「リトルデビルも全部連れてパレードしちゃおう! 楽しんじゃおう」ってアルバムにしたくて、そんなタイトルにしました。
――弱い部分にフォーカスしたのはなぜですか?
LiSA : わたし自身が、目の前にある幸せをそのまんま受け入れられない人間なんで。どちらかというと有限の時間のことを考えてしまったりとか、楽しい先にある悲しいことを考えてしまいがちなんです。でも、それじゃダメだなって。大人になって、それも楽しんでやろうっていう精神を持てるようになりました。
――過去のインタビューで「ステージの規模が上がっていくごとに、逆に不安になったり悩んでしまう」って話してましたけど、そういう気持ちは昔からですか?
LiSA : そうですね。神経質で心配性で、とにかく自分に自信がないですね。
――それっていつから?
LiSA : 物心ついてからずっと。なんか幸せを簡単に信じられないんですよね。
――かなり屈折した見方ですよね。
LiSA : そういう意味では、子供の頃は素直だったかもしれないです。小学校とか中学校とか外の世界へ行って、色んな人と関わることで沢山傷ついて、一回心を閉ざして…。その後にわたしを認めてくれる人達に会えて、また心を開けたタイミングが今です。
――ステージのLiSAさんからは、ギャップを感じる発言です。歌手のLiSAさんと、素のLiSAさんに違いってありますか?
LiSA : 昔はすごくありました。完璧主義だったので、他人に落ち込んでいる姿とか、弱い部分を見せちゃいけないと思ってました。むしろ、みんなに好かれないとダメだって思ってたし、人が傷つくようなことを思っちゃいけないって言い聞かせてました。本当のわたしは「なんて自分は汚い人間なんだろう」とか、「なんで何も出来ないんだろう」って落ち込んでばっかりだったんですけどね…。それを表に出さないように必死に生きてたんですけど、わたしの弱い部分を知った上でみんなが愛してくれるから「こんな自分でも良いのかもしれない」って少しずつ解放していけました。だから、今はなりたい自分と素の自分は近いところにいます。まあ、一番の違いは歌手のLiSAと違って、本当は人見知りってところぐらいですかね。
――自分のことを弱いと思っている人が、あそこまでパワフルな歌を歌えるのが不思議です。
LiSA : やっぱり悲しいことをたくさん知っている人ほど希望を求めるだろうし、そうじゃなく生きてきた人は闇に憧れると思うんですよね。子供の頃は「自分のことを愛してくれる人なんて誰もいない」って閉じこもってました。わたしの楽曲に明るい雰囲気の曲が多いのって、やっぱり自分が考えていることに対して、それを救える希望を求めているからだと思ってます。
――闇を抱えている人間だからこそ、光を求めるって言うのは面白いですね。
LiSA : 昔、小南泰葉さんに「LiSAちゃんはなんで、明るい曲ばっかり歌うの?」って言われたことがあるんですよ。「本当(のLiSA)は会うと色々考えたり悩んでいるから、きっとキラキラした曲にLiSAちゃん自身が救われてるんだよね」って言われて、そういうことなんだろうなって。
LiSAを作っている側の人間は、すごく神経質
――今回、作詞した中で今じゃなかったら書けなかったと思う曲ってなんでしょうか?
LiSA : 全部ですけど、あえて挙げるなら『TODAY』。アルバムの中で最後に書こうと思っていた曲で…というのは自分ごとなんですけど今年30歳になるんですよ。20代最後のアルバムになるんだなって思った時に、今しか書けないことを歌詞にしたいなと思いました。それはなんだろうって考えたら、今ここに立っているわたしが分かること、見えることをきちんと残すことだって。それで、今日のことを書いておこうと、『TODAY』って名付けました。
――LiSAさんにとっては、20代けじめの曲なんですね。
LiSA : そうですね。歌手として7年間活動してきたことや、その前からわたしにしか歩けない道を歩んできたから言えることだなって。今、自分にしか分からない気持ちや、誰にも書けないこの気持ちをしっかり書き留めておこうと思って作りました。
――ご自身でココが強いと思うのはどんなところでしょうか?
LiSA : 何だろう…巻き込む力かな。学校に通っていた時はどんな立場だったかなって思い返してたんですけど、男も女も関係なく、ヤンキーも先輩や後輩もみんな仲良かったんです。それは、わたしが本当にみんなのことを好きだったからだと思うんですよね。今もそれは変わってなくて、LiSAを好きだって言ってくれるどんな人に対しても、わたしは一緒に何かをしたり、楽しんでもらえることを作っていける自信がある。それは海外であろうと日本であろうと、どんなライブであろうと関係なくあると思います。
――先ほどの学生時代から誰とでも仲良くなれたって話を聞くと、人見知りではない気がしますが…。
LiSA : んー…なんでわたしは人見知りなんだろうって考えた時に、自分のことをどう見られたいかっていうのがあるからだなと思ったんです。子供の頃、学校に友達がいたのって、自分で人の懐へズカズカ入っていけたからなんですよね。当時は自分がどう見られたいかってことよりも、仲良くなりたいって気持ちが強かった気がします。
――人の懐へズカズカ入っていく姿勢は、今の「神経質だ」と語るLiSAさんからは想像つかないですね。
LiSA : LiSAを作っている側の1人の人間自体は、すごく神経質だと思います。だけど、歌手のLiSAという人間はすごく人懐っこくて、人を巻き込む力があるし、そういう人でありたいと思ってます。
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