＜インタビュー＞さユりが聴かせる新境地『フラレガイガール』と野田洋次郎との出会い

さユりが聴かせる新境地『フラレガイガール』インタビュー

さユりが12月7日に最新シングル『フラレガイガール』をリリースする。表題曲はRADWIMPS・野田洋次郎が楽曲を提供・プロデュースしたことでも既に大きな話題となっている。初めて聴いたときは、野田洋次郎の楽曲にさユりの歌声が合わさるとここまで強く心に響くものになるのかと何度も曲をリピートしてしまったのを覚えている。さユり自身による作詞作曲『アノニマス』も『フラレガイガール』に負けないくらい強烈な曲だ。今回MEETIAではそんなさユりにインタビューを実施。今回のシングルについてさまざまな話を展開してくれた。

『フラレガイガール』、野田洋次郎との出会い

――『フラレガイガール』はRADWIMPSの野田洋次郎さん楽曲提供・プロデュースということでも大きな話題になっていますね。どういった経緯で楽曲提供が決まったんでしょうか？

さユり 去年の12月にシングルのカップリング曲を録っているときに、その隣のブースで野田さんが作業していたんです。自分のデビューシングルを持って挨拶をしにいったら受け取ってくださって、それが初めてでした。その後に野田さんから「つくった曲があるんだけど自分が歌うのではなく、歌ってくれる人を探している」ということで私に声をかけてくださって。

――受け取った楽曲を聴いてさユりさんの歌声に強く惹かれたのが大きかったのかもしれませんね。RADWIMPSは昔から聴いていたんですか？

さユり そうですね。音楽を始めたちょうど前後くらいに影響を受けたのがRADWIMPSです。なので、今回楽曲提供をしていただいてすごく光栄でした。RADWIMPSのことは最初は『揶揄』がかっこいいなと思って好きになりました。あとは『狭心症』とか『37458』が好きですね。

ーー制作にあたって、野田さんとは何かやり取りされました？

さユり 最後のブロックの歌詞があるんですけど、もともとの歌詞はもうちょっと愛おしい気持ちが強かったんです。私は、デビューしてから自分で曲をつくって歌っていく中で、「それでも進む」というメッセージを大切にしてきました。なので、野田さんに書いていただいた歌詞にも少しそういった要素を入れておきたい、とリクエストはさせていただきました。

――できあがってみて最初に聴いたときはどうでした？

さユり 声を持ち上げてくださっていて素直に「うれしい」って思いました。声を大事にしてくださっているのが楽曲からすごく伝わってきて。

――メロディーもすごく野田さんらしい良いメロディーですよね。

さユり ラブソングなので、今回は女の子に特に響いているように感じます。こういった真っ直ぐなラブソングは歌ってこなかったし、しかもゆったりした曲も私はそんなに多くないので、「いつもと違う感じで良い」という声もいただけていてとても嬉しいです。

めぐりめぐって苦しいことがプラスに変わる、そういうのって生きてるみたいだ。

――シングル『フラレガイガール』は表題曲だけでなくカップリングもものすごく豪華で気合が入っていますね。まず『アノニマス』、こちらは作詞作曲がさユりさんということですが、いつごろからつくられていた曲なんですか？

さユり 完成したのは最近ですね。もともとの種みたいなものは2年くらい前にあったんです。そのときはまだ歌詞が、「自分はこういう思いなんです」という状態で止まっていて元々書いてあった歌詞の「苦しさ」ってなんだろうということを自分の中で突き詰めていって、この「苦しさ」って社会との共通点なのかなって思いはじめてつくりあげていきました。

――歌詞には特にどんな気持ちを強く込めたんでしょうか？

さユり 「当事者になりたい」という気持ちがまずあったんです。ずっと学生時代からどこにいってもなじめない人間で、しゃべっていてもそれを外から見ている自分がいたり、そこにいる自分が楽しめていないというか、どこにいてもここは自分の居場所じゃないという感覚がありました。誰とも繋がっていない感覚があって、じゃあなんでわたし生きてるんだろうと。なので、当事者になりたいとずっと思っていて。いろんな価値観があふれて何を信じたらいいのか、みんな探している状態なのかなって思うんです。なので、信じられるものをわたしもみんなも探してるんだろうなって思いを持ちながらつくりあげていきました。

――作曲はどこらへんからつくりはじめました？

さユり Aメロからですが、何から着手するかは曲によりますね。この曲のように、元はあっても一回寝かせてつくりなおしてっていうことも多いです。デビュー曲の『ミカヅキ』もサビの一部分だけずっと歌詞とメロがあった状態でそこから先が進まなくて…でもあるとき「それでも」っていう言葉が自分の中ではまった瞬間があって、そこから一気に書き上げられたりして。

――じゃあ今も未完成で断片的なものがさユりさんの中にはたくさんあるわけなんですね。

さユり そうですね。人と話していたり、自分の状況が変わったりする中で、急にこれってこういうことなのかなってはまる瞬間がけっこうありますね。

――曲をつくる上で大事にしていることはありますか？

さユり においですね。記憶のにおい。それをどう音に変換するかを考えています。一番記憶に近いらしいです、においって。

――初回生産限定盤Aには『プルースト-弾き語りver.-』も収録されますが、プルースト効果と何か関係があったりします？

さユり まさにそこからですね。嗅覚や味覚から過去の記憶が呼び覚まされること、それをあらわすプルースト効果という言葉から楽曲をつくりあげていきました。

――また、もう１曲、初回生産限定盤AにはボカロPとして注目を集めているn-bunaさんの楽曲『ルラ』のカバーも収録されます。これはどういった経緯でカバーしようと思ったんでしょうか？

さユり もともとわたしが好きだったんです。n-bunaさんのことは、Youtubeにあがっていた『メリュー』から知って、アルバム『花と水飴、最終電車』のクロスフェードを見てすごいなと思って、アルバムを買ってそこから本格的にはまった感じですね。『ルラ』は歌詞が自分にあてはまりすぎていて、かつ自分にはできない表現をされていたのですごいなと思って。

――さユりさんの楽曲は『フラレガイガール』に収録される曲たちももちろんですが、歌詞やメロディーが合わさって心に突き刺さってくる感覚があります。さユりさんの楽曲で救われた人もすごく多いんだろうなと。

さユり 楽曲をいろいろな人に届けられる環境にあるというのはすごく嬉しいことです。お客さんから「わたしはこういうことがつらくて、さユりさんのこういう歌詞がこういうふうに響いて救われた」とかお客さんから「わたしはこういうことがつらくて、さユりさんのこういう歌詞がこういうふうに響いて救われた」とかプラスになったり、そういうのってすごく素敵だなって。

■さユり『フラレガイガール』

発売日：2016年12月7日

【初回生産限定盤 A】CD＋DVD
￥1481＋税
CD
1.フラレガイガール
2.アノニマス
3.プルースト-弾き語りver.-
4.ルラ
DVD
渋谷WWWワンマンライブ「ミカヅキの航海」ライブダイジェスト映像(2016/04/23)
封入特典：酸欠少女さユりキャラカード（4種の中から1種ランダム封入）
デジパック仕様

【初回生産限定盤 B】CD＋DVD
￥1481＋税
CD
1.フラレガイガール
2.アノニマス
3.ニーチェと君-弾き語りver.-
DVD
アノニマスMV（フルレングスver.）
封入特典：酸欠少女さユりキャラカード（4種の中から1種ランダム封入）
デジパック仕様

【通常盤】 CD
￥926＋税
1.フラレガイガール
2.アノニマス
3.アノニマス-酸欠remix-
初回仕様限定封入特典：酸欠少女さユりキャラカード（4種の中から1種ランダム封入）