3軒目『揚子江菜館』
ほっこりしたところでランチタイム。ゆうほさんにたくさんあげてもらった候補のなかから、広くて入りやすい中華料理屋『揚子江』をチョイス。こちらも明治39年創業と、老舗中の老舗。冷やし中華発祥の店としても知られる有名店で、池波正太郎などの作家も通いつめていたという(『池波正太郎の銀座日記』などのエッセイに詳しい)。
昔から家族でよく来ていたそうだが、2017年はあまり自分の時間が作れず、来店するのは約1年ぶりとのこと。辛いものが大好きなゆうほさんが頼んだのは、上海担々麺。
食べながら、野球の話などで盛り上がるなか、今度は好きな男性のタイプの話に。
ゆうほ : 何かひとつのことに長けてる人に惹かれる。良いなって思う男性は、字がうまい人か、絵がうまい人。
――それ、美大とか行ったらカンペキですよね(笑)。
ゆうほ : 確かに(笑)。昔付き合った人がすっごい字が汚くて、お手紙もらったときに解読するのにすごい時間がかかっちゃって。手紙が好きなんですよね。でも字が汚いとせっかくの気持ちも伝わりにくいから。ものすごく字がうまい必要はないけど、読める程度には綺麗でいてほしい。それに、文字の書き方には多少なりともその人の性格が反映されると思うんです。
文字や手紙へのこだわりは『I 御中〜文房具屋さんにあった試し書きだけで歌をつくってみました。〜』に通じるが、その話はもう少しあとで。
揚子江菜館
住所:東京都千代田区神田神保町1-11-3
電話:03-3291-0218
営業時間:
11:30~22:00(L.O.21:30)日曜営業
http://www.yosuko.com
4軒目:レコード社
お腹もいっぱいになったところで、次に向かうはレコード屋さん。神保町の『レコード社』は昭和5年創業の老舗。日本音楽専門フロア、ポピュラー音楽専門フロア、クラシック音楽専門フロアに分かれている。
ゆうほ : 実はこのお店は入ったことがなくて、ずっと行ってみたいと思っていたところ。the peggiesはメンバー3人ともレコードが好きで、誕生日プレゼントに贈り合ったりします。
店頭には昭和歌謡のカセットがズラリ。歌謡曲は、両親の影響で小さい頃からよく聴いていたそう。the peggiesの曲のメロディーの良さは、昭和歌謡にルーツがあるのかもしれない。
ゆうほ : 幼稚園のときに家の棚をあさってたら『チューリップ』って書いたカセットがあって。“チューリップの歌だー”って思って聴いたら全然違ったんだけど、それが最初に聴いた歌謡曲だったと思います。
「一番行きたかった」という2階のポピュラー音楽専門フロア(洋楽コーナー)へ行くと、入ってすぐ、導かれるようにある棚へと一直線に進むゆうほさん。何をディグり始めたのかと思ったら、中国・台湾音楽と東インドの宗教音楽。……渋すぎ!
ゆうほ : ああー! イイなあー! こうして見てるだけで楽しいですよね。初めて買ったレコードはバディ・ホリー&ザ・クリケッツでした。当時中学生だったんですけど、ジャケ買いでした。いまも大事に持ってます。……あ! みくとまあちゃんに誕生日プレゼントでもらったレコードだ!
ゆうほ : レコードって昔はメインカルチャーだったのに、時代が変わるとサブカルチャーになって、そこにあらたな価値を見出す人がたくさんいるって面白いなと思います。さらに、それがおしゃれの最先端みたいな扱われ方をしていることも面白い。
ゆうほ : カセットやレコードがおしゃれっていう感覚は正直あんまりわからないけど、そういうきっかけでみんなが音楽を聴くようになるのは良いことだなと思います。
レコード社 本店
住所:東京都千代田区神田神保町2-26
電話:03-3262-2553
営業時間:
11:00~20:00年中無休
web https://www.recordsha.com/index.html
Twiter https://twitter.com/recordsha
Facebook https://www.facebook.com/レコード社-1461070700809498/
Instagram https://www.instagram.com/recordsha/
5軒目:『文房堂』
最後の目的地は、素敵な雑貨や文具のお店『文房堂』。創業は明治20年と、今回訪れた場所でもっとも古いお店。元々は輸入文具や画材を販売していたが、オリジナル文具も販売するようになり、明治から昭和にかけての文豪に愛された。中原中也『朝の歌』『羊の歌』、有島武郎『或る女』、小林多喜二『蟹工船』などが『文房堂』の原稿用紙で書かれたことで知られる。
ゆうほ : 『文房堂』はいろんなものがあるから、見てるだけで楽しい。お姉ちゃんと一緒によく来てました。この独特の外観が、小学生の頃はちょっと怖かったんですよね。
文房具屋とthe peggiesと言えば試し書き。というわけで、『文房堂』の試し書きをチェック!
……いやいやいや。試し書きうますぎでしょ。そして試し書きなのに言葉じゃなくて絵が多い? 絵を見て「わかるー!」と共感するゆうほさん。
世界初!文房具店の試し書きだけでつくった歌『I 御中〜文房具屋さんにあった試し書きだけで歌をつくってみました。〜』
ゆうほ : 『I 御中』は12,000枚以上の試し書きを集めて、そこから300ワードくらいに絞って歌詞にしていったんです。全部ほかのひとが書いた言葉なのに、最終的に自分で書いたような歌詞になったことがすごく不思議で面白いです。
――試し書きって言わなければ誰も気付かないくらい、ゆうほさんが書いたような歌詞ですよね。とくに今回は『ネバーランド』のサビの歌詞も面白いので、その流れで聴くとまったく違和感がない。ちなみに、「これ私が書いたものです!」っていう連絡は来ました? とくに“I 御中”って書いたひとが気になります。
ゆうほ : それが来てないんですよ……。ありがとうって伝えたいし、“I 御中”のひとにはご飯をオゴリたいくらいです。こんなユニークなワードセンスのある人、なかなかいないですよね。
――もしこれを読んでいる方のなかに“I 御中”って書いた人がいたら、ミーティア編集部までご連絡をお願いします。
文房堂
住所:東京都千代田区神田神保町1-21-1
電話(神田本店):03-3291-3441
営業時間:
10:00~19:30年中無休(年末年始除く。ギャラリーのみ18:30終了)
web http://www.bumpodo.co.jp
Twitter https://twitter.com/bumpodo
Facebook https://www.facebook.com/bumpodo/
Instagram https://www.instagram.com/bumpodo/
さて、半日かけて北澤ゆうほのルーツである神保町を歩いてみたが、この街の隅々に、彼女の人生のかけらが散りばめられていることを強く感じさせられた。「神保町という、ほかとは明らかに匂いの違う街が、北澤ゆうほという人間をつくった」という言い方は、おそらく全然おおげさではない。
音楽の楽しみ方は色々あるだろうが、その音楽をつくっているのは人間だ。だとしたら、その人間がどこで、どんなふうに生まれ育って来たのかを知ることは、さらなる音楽の楽しみへと導いてくれる。
ゆうほ : 育ってきた環境は歌詞に絶対出てると思うから、街を知ってもらえればthe peggiesの音楽をもっと楽しんでもらえると思う。もっともっと、神保町の魅力をみんなに知ってもらいたいです!
the peggiesの音楽をより楽しむため、北澤ゆうほをより知るためにも、ぜひ一度、神保町という街に足を運んではいかがでしょうか。
神保町を歩いたあとにthe peggiesを聴くと、その音や声や言葉が、前とは少し違って聴こえるかも。
(the peggies mini Album『super boy ! super girl !!』全曲視聴トレーラー映像)
<今回訪れたお店まとめ>
・喫茶店『ラドリオ』
・洋古書店『北沢書店』
・中華料理店『揚子江菜館』
・レコード専門店『レコード社 本店』
・画材・文具店『文房堂』
the peggies オフィシャルサイト
the peggies Twitter
the peggies Instagram
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